第205章 この程度の小細工もあまりに稚拙だ

夕方。長谷川栞は買い物袋を提げてマンションに戻り、何気なく郵便受けを開けた――その瞬間、白黒写真の中の自分と目が合った。

「……っ!」

指先がびくりと跳ね、手にしていた野菜の袋がどさりと床へ落ちる。

薄暗い郵便受けの奥。四角い白黒写真が、壁に立てかけられるように静かに置かれていた。上には、雪みたいに白い布が一枚、ふわりと掛けられている。

廊下灯の青白い光が差し込み、影を濃くしているせいか、やけに不気味だった。

栞は郵便受けの扉を掴む手に力が入り、指が痛むほど握りしめる。

写真の中の自分を凝視した途端、足裏から冷えが這い上がり、骨の芯まで突き刺さった。

強すぎる動揺が身体を引っ張...

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